超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

 本棚のそばに釘が一本落ちていた。床には放られてそのままにされたらしい「シンデレラ」の絵本。本を開くと、舞踏会へ向かう途中で馬車がバラバラになり、シンデレラが泥まみれで泣いている場面で終わっていた。この釘はおそらく馬車のものだろう。シンデレラをなだめながら、何とか馬車を修理した。「ほんはたいせつにあつかいましょう」という張り紙の意味を、子どもたちはちょっと甘く見ている。