超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

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 ベランダに出て空を眺めながら、本当に何も考えずぼーっとしていたら、はっと気がつくと足下に「・」がいっぱい落ちていた。「……」の「・」らしい。あとで片づければいいやと思い、つま先でベランダの端に集めてそのまま放置しておいたら、夕方頃カラスがやってきて、「・」をしげしげと興味深そうに眺めたあと、いくつか飲み込んで飛び去っていった。その日は、いつもはうるさいカラスの鳴き交わす声が、ちょっとだけ静かだった。