超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

たこ焼き

 朝起きたらまつ毛が重たい。視界一杯になにかがぼんやり映っている。鏡を覗くと、まつ毛に小さな輪投げの輪がいくつも引っかかっていた。そういえば、かすかにソースと花火のにおいが漂っている。ゆうべは、お祭りだったらしい、小さい人たちの。それで合点がいった。ゆうべ見た楽しい夢は、お祭りのせいだったのか。毎年この時期になると小さい人たちのお祭りがあるというのに、毎年決まって忘れてしまう。忘れてしまうのは、小さい人たちが小さすぎるせいか、それとも私が大きすぎるせいか、それはわからない。そういえば、この家で小さい人たちと暮らすようになってから何年になるだろう。今日は小さい人たちのまねをして、おやつにたこ焼きを食べよう。