超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

のぼり

 近所の古びた薬局の店先には、「元に戻る薬」とだけ書かれたのぼりが立っている。ある雨の日、そののぼりを、一匹の蛙がじっと眺めているのに出くわした。……もう元に戻って蛙なのだろうか、それとも蛙から別のものに戻るつもりなのだろうか。いずれにせよ、雨は心地よく降り続いていた。