超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

おめかし

 雲をシャツに、鳥の影を蝶ネクタイにして、やけにめかしこんだ太陽が、いつもより赤い顔で、いつもより早い時間に、地平線の向こうへ沈んでいった。どんなわくわくする集まりがあるのか知らないが、明日の朝寝坊するなんてことはないようにしてほしい。かわりにいつもより早い時間に現れた月は、ふくれっ面で街を見下ろしていた。