超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

演出

 雷鳴かと思ったら、ドラムロール。雷光かと思ったら、スポットライト。山の化け物が、生け贄をさらいに来る時の演出が、年々華やかになっている。今年は俺が選ばれたのだが、長いドラムロールの後、バン!とスポットライトが当てられ、同時にファンファーレが鳴った瞬間、正直ちょっと笑ってしまった。その晩食われて死んだけど。