超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

 ゆうべ一晩中降り続いていた雨は、朝方になってようやく止んだ。カーテンを開けて空を見上げると、真っ白な雲が浮かんでいた。そしてそのふちに天使たちが腰掛け、真っ白な翼を乾かしているのが見えた。そうか、ゆうべ、この近所で雨の中誰かが亡くなったのか。思いがけずさびしい光景を見てしまった。気持ちを紛らそうとテレビを点けると、朝のニュース番組の占いコーナーが流れていて、私の今日のラッキーカラーは白だと告げていた。