超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

ぴかぴか

 ベランダに星が落ちてきた。ずいぶんくすんだ星だった。てぬぐいで磨くとぴかぴか光りだした。じゅうぶんぴかぴかになったところで、星はぼくの手を飛び出してベランダをぴかぴか跳ね回った。そしてそのままぴかぴか跳ね上がっていき、やがて夜空へ帰っていった。星に向かって軽く手をふると、星はぴかぴか光った。さっき開けた缶ビールをかかげると星はぴかぴか光った。ビールを飲み干して大きなげっぷをすると星はやっぱりぴかぴか光った。こうしてぼくにはぴかぴか光る友だちができた。いやなことがあった時やさびしいことがあった時には、ベランダに出て星に手をふる。星はぴかぴか光ってこたえてくれる。ぼくのたいせつな友だちだ。いつかぼくが死んだら、かんおけに缶ビールを二本入れてもらおう。