超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

紙吹雪

 仕事の帰り道、ふと見上げた満月に、くす玉の紐が垂れ下がっていた。手を伸ばして掴もうとしたが、掴めなかった。ということは、あれは私のものではないらしい。
 家に帰り、カップラーメンの3分を待っている時、空からカタン、と音がした。窓の外を見てみると、満月が割れて垂れ幕が夜風に揺れていた。こちらから見えたのは裏面だったので、何を祝われているのかはわからなかったが、紙吹雪が星々に紛れて綺麗だと思った。おめでとう誰か。