超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

溜まる

 朝起きると、天井に、ゆうべの夢に出てきた美女たちがふわふわ浮かんでいた。あまりに嬉しい夢だったせいだろう、消えずに溜まってしまったらしい。人通りを確かめて、そっと窓を開ける。窓から夢の美女たちが逃げていく。誰にも見られてないだろうな、と一応もう一度窓の外を確認すると、近所のおばちゃんとばっちり目が合った。おばちゃんはにやりと笑い、「最後に出てきた娘、私の若い頃にそっくりだよ!あはははは!」と言い放った。朝から嘘みたいにテンションが下がった。