超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

キャベツ売り場から

 昨日、スーパーで買い物していたら、キャベツ売り場からしゃれこうべが飛び出してきて、カタカタ笑いながらすごいスピードで去っていった。驚いていると、そこへ困った顔の中年店員が現れ、しゃれこうべを軽く追いかけていったが、とうてい追いつけるスピードではない。しゃれこうべが見えなくなると、彼は諦めたように踵を返し、頭を掻き掻きバックヤードへと戻っていった。「あのしゃれこうべは元々、店長の息子だから、店員さんも強く出られないらしいよ」主婦仲間の一人がそう話していたので、真偽を確かめるため、お客様のご意見カードに「あのしゃれこうべは元々誰なんですか」と書いてみたが、まだ回答はない。今日はアボカド売り場に現れたらしい、しゃれこうべ