超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

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 犬の散歩の途中、砂浜に立ち寄り、落ちていた棒きれで砂に「1+1=」と落書きをした。別に意味はなかった。波がざざっと寄せてきて落書きをさらっていった、と、飼い犬が海の方を見てわわんと吠えた。顔を上げると、海の中から別の棒きれのようなものがすっと飛び出している。よく見るとそれは子どもの腕だった。さっきの答えがわかった、ということらしかった。それじゃ答えを、と言いかけたが腕の主の名前がわからない。まごまごしていると、飼い犬がわわんと助け船を出してくれた。腕が引っ込み、波がざざっと寄せてきた。足下に目を落とすと、そこには綺麗な貝殻が2つ転がっていた。なんだい、きざなやつめ。