超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

木魚と魚

 夜、仕事帰りに近所の寺の前を通りかかったら、お坊さんが水泳帽をかぶせた木魚を抱えて池の方に歩いていくのを見た。何ですか、それ、と訊くと、泳ぐ練習をさせてるんです、とのことだった。昼間、木魚としての仕事を終えてから、夜、魚として泳ぐ練習をしているのだという。ためになった。ぼくも早く帰って小説を書こうっと。