超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

霧雨

 近所のコンビニの傘立てにずーっと置きっぱなしにされていた青と赤の二本の傘、の間に、今日、ちっちゃな傘が横たわっていた、子傘が生まれてしまったらしい、買い物ついでに、レジ打ちをしていた店長に話を聞くと、「いやあ、もう、しょうがないからうちで育てますよ、忘れられた傘に罪はないですしねえ」といつになく饒舌に、どこか嬉しそうに語っていた、店長の計画では、霧雨から徐々に慣らしていって、いつか立派な大人の傘にするつもりらしい、霧雨から慣らしていくというのは確かにいいアイディアだなという気がした、あ、それあっためなくていいよ。