超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

リスその他に

 少し嫌なことがあり、うつむきかげんで公園の並木道を歩いていたら、地面を埋め尽くす落ち葉の中に、虫食いの穴の形と大きさが全く同じものが何枚も混じっていることに気づいた、ので不思議に思いつつ拾って集めていると、十枚集まったところで、何か大きな鳥が私めがけて飛んできて、せっかく集めた落ち葉をくわえて持ち去ってしまった、何だったんだ今のは、と首を傾げつつ家に帰ると、玄関先に、何かがぽつんと置かれている、それは、何かの茎のリボンがかけられた大きなドングリだった、人間の目から見ても美味しそうなドングリだった、どうもさっきの落ち葉の景品らしい、人間の私がもらっていいのだろうかこれ、いやあ何だか悪いことをしたな、リスその他に、と思いつつドングリを掌の中で転がしているうちに、少し嫌なことが何だったかをいつの間にか忘れていた。