超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

標本箱

 宇宙船の外に出て、ひとり船外活動をしていたら、遠くから、なにかきらきらしたものが漂ってきた。目をこらすと、それは見たこともない蝶がおさめられた標本箱だった。標本箱が飛んできたのは、確かこの間、小さな星が爆発していると言われている方角だ。その星の誰かのものなのかもしれない。地球へのおみやげにするには、あまりにも美しすぎたので、飛んできた方向へ戻すことにした。標本箱は最後まできらきらしながら、闇のかなたへと消えていった。