超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

白いおじさん

「××くん おたんじょうび おめでとう」
 と書かれたチョコレートの板を、おでこにくっつけた白いおじさんが、肩を落として、とぼとぼ夜道を歩いていた。すれちがうとき、とても甘い匂いがした。
「××くんには、会えたんですか?」
 背後からそう声をかけると、白いおじさんは肩越しにさびしい笑みをうかべて、そのまま去っていった。
 そのあと、なんとなく、コンビニによってショートケーキを一つ買って帰った。とても甘かった。