超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

いないいない

 海岸沿いを歩いていたら、釣り人の格好をした男が、クーラーボックスのフタを開けて中を覗きこみながら、「いないいないばあ」を繰り返していた。すれ違う時、クーラーボックスの中で何かが勢いよく跳ねる音が聞こえてきたが、もしかしたら笑い声だったのかもしれない。海が、やけに騒がしいのが、不安だ。