超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

テクニック

 むかし時計屋さんがあった空き地に、野生の砂時計が生えていた。まだ形もいびつで、砂も詰まりすぎているが、珍しいので一つ摘んで家で育てることにした。二ヶ月くらい経ち、立派な砂時計に生長した。が、時間を計ってみたら3分12秒という半端な数字だったので、カップラーメンを作る時は、時計をひっくり返してからちょっと待ってお湯を入れる、というテクニックで乗り切っている。