超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

犬と爺さん

 からだじゅうに、コードや、ネジや、アンテナや、ちかちか光るランプをくっつけた、ほとんど骨ばかりの犬が、これまたほとんど骨ばかりの爺さんが弱々しく投げたフリスビーを、三十分かけて、くわえて戻ってきた。夕暮れの、さびれた公園での話だ。

 本当は会社に戻らなきゃいけないのに、その一部始終をベンチに腰かけてぼんやり眺めていた。爺さん、すごくよろこんでた。犬も、たぶん。