超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

こっぷ

 くすりをのむのにつかったこっぷが、こいのぼりみたいなおおきなくちで、びょうきがなおったらぴくにっくにつれていってください、といったので、どこへいきたいの、とたずねると、こっぷは、やわらかいつちのうえなら、どこでも、とこたえた。おもいきりころがってもけっしてわれないばしょで、おおごえでわらってみたいんです。そのことばをききながら、くらいだいどころのすみで、わたしはせきをこらえていた。