超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

乾杯

 耳をつんざくような
「乾杯!」
 の声がきこえたつぎの瞬間、ぼくたちは宇宙にほうりだされていた。

 ふりかえると、地球のまわりの大小さまざまな星々が、地球めがけてぶつかってきたらしく、その衝撃でぼくらは宇宙にほうりだされたのだということがわかった。

 よっぽどめでたいことがあったのだろう。
 地球のむこうにある大きな顔が、てれくさそうに赤くなっていた。

 めでたいのはかまわないが、もうすこし、紳士的に乾杯してほしかった。