月には一匹の老いた猫がいる。
猫には蚤がついている。
猫だけがいる。
飼う人はいない。
飼う人がいないから、洗っていない。
洗っていないから、猫は痒い。
痒いから、掻く。
すると猫から蚤が飛び出す。
その蚤を地球から見たのが、流れ星の正体だ。
だから、流れ星に祈っても効果は期待できない。
しかし、猫は、願いを叶える気満々でいる。
昔、月にやってきた人間に、地球にはそういう習慣があると教えられたのだ。
はりきっているのだ。
だから流れ星に祈ってやると、月にいる猫が喜ぶ。
それだけのことだ。