超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

サイン

 昼寝をしていた娘の寝息が、葉擦れの音へと変わっていった。
 後で訊いたら、森の夢を見ていたというので、森に遊びに連れていったら、とても喜んでいた。

 昼寝をしていた娘の寝息が、波の音へと変わっていった。
 後で訊いたら、海の夢を見ていたというので、海に遊びに連れていったら、とても喜んでいた。

 昼寝をしていた娘の寝息が、俺の悲鳴へと変わっていき、やがてそれが止むと、今度は土を掘る音へと変わっていった。

 まだ訊けていない。