超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

ばた足

 庭の隅に植えた星が、いつの間にか芽を出し、茎を伸ばし、その先に新しい星をつけていた。
 サラダにしようと思ってもぎっていたら、一番ぷりぷりで美味しそうな星に、宇宙飛行士がたかっているのに気づいた。
 指でつまむと、ぎゃっ、と言って、ばた足で逃げていった。

 安全な場所に逃がしてやろうと思っただけなんだけどな。
 軒下のブラックホールに吸い込まれていませんように。

 サラダは美味しかった。