超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

色のない雨

 カーテンを開けると雨が降っていた。
 久しぶりに色のない雨だった。
 水のにおいの雨だった。
 誰も泣かない雨だった。

 今日はお気に入りの靴を履き、うつむかずに外を歩くことができる。
 空を覆い隠す分厚い黒雲が、とても頼もしく見えた。