超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

七時

 朝、新聞のテレビ欄に目を通すと、今夜七時からの生放送の番組に、僕の名前が載っていた。
「死に顔を予想して豪華景品を当てよう!」
 そうか、今週は僕なのか。

 いつもの通勤電車に揺られながら、ぼんやりと考える。
 あの番組が始まった時から観てたけど、結局最後まで死に顔の予想も景品も当たったことがなかったな。
 会社の人たちに説明するのめんどくさいな。

 夜、家までの帰路を歩いていると、遠くの街灯の下に、カメラマンのような男と、見慣れた司会者が突っ立っていた。
 あと数歩近づけば、僕の死に顔が全国のテレビに映し出されるのだ。
 ドキドキする。
 ああ。
 痛いのはやだな。