超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

でっかいの

 学校からの帰り道、ふいに斜め上の方から飼い犬の鳴き声が聞こえたような気がした。顔を上げた。歯医者のペンチのでっかいやつが、私の家を町から抜いて、空の彼方へと消えていくのが見えた。
 それで、その日から、私には帰る家がない。
 町は、良くなったそうだ。