超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

 結婚記念日なので妻が好きなケーキを買って帰った。しかし妻は亡くなった息子の写真の欠片を口の周りにくっつけたまま、「お腹いっぱいだから」と微笑むだけだった。
 その夜は、妻の手を握って眠った。その手は汗ばんでいるのになぜかとても冷たかった