超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

蜥蜴

 一年に一度か二度、死んだ妹の夢を見る。
 死んだ妹の夢を見た時は、目覚めると必ず何か一つ私のものがなくなっている。
 今回は舌だった。
 ベッドの下にもパジャマのポケットにも見当たらない。
 台所に行って筆談で母にそのことを伝えると、母は「じゃあ今朝は朝食抜きね」と言って笑った。