超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

秩序

 春が来て庭の木に花が咲き、花が枯れ、果実が生る。
 果実をもぎ、ナイフで切ると、青い香りの果肉の中に、白いドレスの切れ端が埋まっている。

 今年はいくつの実があの木に生るのだろうか。
 あの木が彼女を全て返してくれるのは、いつになるのだろうか。