超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

集める係

 ランドセルを開けると、髪の毛がどっさり入っていた。他の子のランドセルには、手足や目玉が入っていた。
 集める係の子が教壇に上がり、集めるための箱の蓋を開けた。
「教科書が汚れちゃった子は図書室で交換してきていいからね」
 先生が優しく微笑んで言う。
 集めるための箱に髪の毛を入れ、自分のノートや教科書が綺麗なことを確かめて席に戻る。隣の子は教科書が血で汚れていたらしく、図書室に行くと言って教室を出ていった。
 あ、私も汚れたって言えばよかった。そうすればホームルームさぼれたのになぁ。