超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

やりがい

 授業中にお腹が痛くなったので、保健室に行くと、優しい先生はすぐにベッドの用意をしてくれた。お礼を言ってベッドに潜り込み、とにかく眠ってしまおうと目を閉じた。
 十分程経った頃だろうか、ようやくうとうとしかけてきた時、カーテン越しにかすかに先生の声が聞こえてきた。
 いつの間にか誰か来たのかな、と思ったが、その割には人の気配がしない。そっとカーテンの隙間から覗くと、先生が「つまらーん、つまらーん」と繰り返しながら、赤いペンをデスクの上でめちゃくちゃに動かしていた。