廃墟になった一軒家のある部屋で、劇薬の入った瓶のラベルを読みながら、パジャマ姿のガイコツが首をかしげている。
いくら飲んでもちっとも効いている感じがしないのだ。
一刻も早く死んでしまいたいのに、薬を間違えたのかしら。
困り果てている女の頭蓋骨の片隅に、ある考えが浮かぶ。
これはもしかしたら、まだ死んではいけないよ、っていう神様からのメッセージなのかな。
しかしその考えを肯定してしまったらとんでもないことになってしまいそうな気がして、ガイコツは慌てて首を振り、再び瓶のラベルに目を落とす。
自慢だった大きな胸の内側に蜘蛛の巣が張っていることにも気づかないまま。