超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

愛妻弁当

 昨日の夜、大喧嘩をした嫁が、今朝何事もなかったかのように弁当を手渡してきた。
 その日は午前中から仕事が立て込み、いつもより昼飯の時間がだいぶ遅れてしまった。
 ようやく休憩時間になり、鞄から弁当箱を取り出すと、弁当箱の底を突き破って、細かな棘のついた植物の根がうごめいていた。