玄関のドアを開けると、ちょうどトイレのドアが開いて、合い鍵を渡しているウェイトレスが出てくるところだった。
気まずい沈黙が数秒続いた後、ウェイトレスは何も言わずに手を洗い、そして私を急かすように、銀のお盆を指先でトントンと叩いた。
私はもうほとんど取れかけている胸の糸を抜き、半分しか残っていない心臓をウェイトレスに手渡した。
ウェイトレスは心臓をお盆に載せ、手際よくフォークとナイフを添えて、さっさと部屋を出ていった。
その夜、ベッドでじっとしていると、部屋のポストに何かが落ちる音がした。
見に行くと、四分の一ほどになった心臓と、お金の入った封筒が投げ込まれていた。
予想よりもずっと少ない額だった。
すっかり小さくなった心臓を胸の中に戻し、遠くに輝くレストランの灯りから逃れるように、頭から布団をかぶった。