超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

幸せのパーティー

 仕事を終えて自宅のアパートに帰ると、自転車置き場に、死にかけのサメが横たわっていた。
 背びれのところに鞍が取り付けられているのを見るに、どうやらこいつに乗ってここに来た誰かがいるらしい。
 今日は夜から雨が降るって言ってたから、ここに置いといても大丈夫だと思ったのかもしれない。
 しかし、頭上を仰ぐと、そこには満天の星空が広がっていた。
 どうすんだろ、これ。
 みるみる目を白く濁らせていくサメをよそに、アパートのどこかの部屋から、クラッカーを鳴らす音が聞こえてきた。