超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

文明

 スプーンにまとわりついていた洗剤の泡は、渦を巻いて流れ去っていった。
 満たされたようなそうでないような腹をさすり、俺は乾いた布巾を手に取る。
 さっきまでこのスプーンの上で膝を抱えて泣いていた女の顔を思い出しながら。