超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

恐るべき子どもたち

 係の男に整理券を手渡し、案内された蛇口をひねると、黒っぽい液体が流れ出てきた。
 男の子だ。
 役所のパンフレットによれば、これを好きな型に詰めて冷凍庫で固めれば、入園式までには余裕で間に合うらしい。とりあえず一安心だ。
 しかし子どもってのは本当に良いものなんだろうか。
 同級生の中には結局ハンマーで叩っ壊してしまった奴もいると聞く。
 一人暮らしの部屋に帰り、この日のために買った冷凍庫の温度調節ツマミを目一杯ひねると、何も考えるなと言わんばかりに、モーターが低く唸り出した。