2017-10-17 新世界より トモコからきいた話 靴を揃え、遺書を置き、未練を捨て、マンションの屋上から身を投げた瞬間、なぜか体がふわりと浮かび上がった。 叩きつけられる予定だったコンクリートが視界の先遥か遠くで、波間に漂う板のように頼りなく揺れている。 わけもわからず呆然としていると、ふいに背後に気配を感じた。 身体を無理矢理ねじって屋上の方を振り返ると、夕暮れの空に宇宙服を着た男たちが浮かんでいて、俺の書いた遺書を興味深そうに読んでいた。