超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

蝶が泣く

 じょうろに水を溜めて庭に出ると、一匹の蝶が、プランターに植えてある花の上に突っ伏して泣いていた。
 うずまき状の口からは細い嗚咽が漏れ、涙は茎を伝って土に染み込んでいる。
 何だかその姿が、酔っ払った時の妹に似ていると思った。
 今朝は朝から暑いから早めに水やりをしようと思っていたが、蝶の邪魔をするのも悪い。
 先に買い物に行って、ついでに妹の墓参りに行ってこよう。