超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

ツタ

 遊び人だった父の葬儀会場に、何かの植物のツタがにょろにょろと入ってきて、器用に線香をあげ、再びにょろにょろと帰っていった。
 葬儀が終わった後、親戚や父の友人にさっきのツタについて訊いて回ったものの、結局正体はわからずじまいだった。
 とりあえず今は近所の庭や花壇を注意深く観察し、父っぽい花を探す日々を送っている。