超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

正体

 雨が降るとは聞いていたけど、横殴りの風が吹くなんて聞いてない。
 必死になって傘を握りしめていたらいつの間にか、手首の部分を固定している糊が、雨水で剥がれてしまっていた。
 よりによって友達と一緒に帰っている時にだ。
 あーあ。また転校だ。