2017-07-31 今昔物語 トモコからきいた話 押入れの奥から出てきたスケッチブックに、小さな掌のスケッチが描かれていた。 確か当時小学生だった私が、自分の掌を見て描いたものだ。 懐かしい気持ちで眺めていると、突然掌がスケッチブックからにゅっと飛び出てきて、私のおっぱいをわしづかみにして霧のように消えてしまった。 一瞬の出来事だった。 シャツに残された鉛筆の粉をはたき落としながら、せめて何か感想をくれよと思った。