2017-03-11 生きものの記録 マリコからきいた話 のぼり坂を機嫌よく歩いていたら、それまで吹いていた心地の良い風がとつぜん凪いでしまった。 お母さんから渡された買い物のメモを握りしめたまま、不安になって立ち止まる。 耳を澄ますと、坂の上の丘の向こうから、ペンを動かす音が響いてきた。 どうやらまだ続きが出来上がっていないらしい。 今度の人はずいぶん遅い。 前の人の方が早かった。 まあ、前の人はお母さんを病気にしてしまったけど。