超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

さんぽ道

盗まれた花や人形たちが、
さんぽ道を縁取るように立ち尽くしている。
縫い目のほどけたサルやクマたちは二階の窓に腰かけ、
囁くように彼女たちを罵っている。

森をつらぬくさんぽ道は、
毛糸の髪の毛を朝露で湿らし、
燃えるような夕焼けの赤は、
フェルト地の頬に化粧をほどこして今日も満足顔だ。

(とってもいい子なの
今の娘たちは。
トイレも歯磨きも必要ないし、
胸は永遠に膨らまないし……。)

夜が訪れるとさんぽ道はむしろ饒舌になり、
酔った狼は人形の脛にかじりついて月に頭を砕かれる。