2016-07-23 さんぽ道 クミコからきいた話 盗まれた花や人形たちが、さんぽ道を縁取るように立ち尽くしている。縫い目のほどけたサルやクマたちは二階の窓に腰かけ、囁くように彼女たちを罵っている。 * 森をつらぬくさんぽ道は、毛糸の髪の毛を朝露で湿らし、燃えるような夕焼けの赤は、フェルト地の頬に化粧をほどこして今日も満足顔だ。 * (とってもいい子なの今の娘たちは。トイレも歯磨きも必要ないし、胸は永遠に膨らまないし……。) * 夜が訪れるとさんぽ道はむしろ饒舌になり、酔った狼は人形の脛にかじりついて月に頭を砕かれる。