2016-07-09 ロボットと人間 マリコからきいた話 青のロボットは海底で骨だけになり、魚たちの棲み処である空っぽの頭で、 さざなみの下日々、路傍に打ち捨てられた恋人のことを思い出している。 赤のロボットはバラバラになり、爽やかな風の吹くゴミ捨て場で、 桜の花びらに埋もれながら、六個の瞳で見つめ合った恋人のことを思い出している。 * どこか遠くで人間の、女がむせび泣いている。 エイが翼をはためかせ、天使のように通りすぎる。 どこか遠くで人間の、男が受話器を叩きつける。 叡智の光のまっすぐな道を、ゴミ収集車がやってくる。