超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

Girl

 照明が焚かれ、遥の肌があらわれ、遥の鼻があらわれ、遥の歯があらわれ、遥の羽があらわれる。

(客席はめらめらと燃えている。)

 ショーが始まり、遥は舞台をぶらぶら歩いていって、はるかの果てに腰を降ろす。

(客席はしんと静まり返っている。)

 照明が消え、はかない肌が消え、はかない鼻が消え、はかない羽がたたまれ、遥の話は忘れられる。

 ショーが終わり、遥は舞台をぶらぶら歩いていって、はるかの果てに恋を捨てる。