超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

星と蛇口

 宇宙服を着たツアーガイドの女が、目の前を漂うビーチボールくらいの惑星を掴み、蛇口を取り付ける。

 宇宙服を着た私たちが、コップをあてがい、栓をひねると、綺麗な青の液体が注がれる。

 星の生き物たちが干からびて死んでいくのを眺めながら、ちびちびとそれを飲む。

 星の味がする。

 ガイドの女が傍らに寄ってきて、星の味がしますでしょうと言う。

 笑顔で頷きそれを飲み干し、宇宙船に戻って次の星の水を飲みに行く。

 

 星の水を飲んでいる時にたまに、干からびて死んでいく生き物と目が合うことがある。

 そういう時は宇宙船に戻ってから、なぜかしばらくしゃっくりが止まらなくなる。