買ったけれど読まずに積んでおいた本の山のてっぺんに、いつの間にか小さな家が建っていた。健康そうな若夫婦と、幼い子どもがしょっちゅう出入りしている。
これでいよいよ本が読めなくなってしまった。積み上げられた本の山にちょっと触れるだけでも、家を揺らして彼らを怖がらせてしまったらと考えて冷や汗が出るのに、例えば、読みたいと思った本を山の中から抜き取るなんてことはとてもできない。
そんなことを考えながら本の山を眺めているうちに最近では、そもそも読みたくて買ってきた本なのかどうかが、自分でもよくわからなくなってきた。だから今のところはとりあえず、食うものがないので本を売らなければならない、というような状況にならないように、一所懸命働いている。